HARUKA~愛~
学校に戻ると案の定、いじめが始まった。




―――根暗女、あのまま死ねば良かったのに。

―――消えろ、ブス。

―――邪魔なんだよ。

―――死ね。

―――死ね。

―――死ね。



ロッカーには雑巾、下駄箱には給食の残飯が入っていた。

体育館シューズが無くなり、ツルツル滑りながら体育館を走っている私をお腹を抱えて笑う人もいた。

カバンがゴミ箱に捨てられているのは日常茶飯事で、私は毎回ゴミ箱を漁っていた。

わざと他のクラスからゴミを持って来て捨てている姿も嫌になるほど見た。


だけど私は何も身体的に抵抗しなかった。

勉強面で見返してやろうと思って過呼吸になるのを必死に耐え、淀んだ空気の中、先生の話にだけは耳を傾けていた。




『 私、お母さんみたいな看護師になるね!』

『そう。なら、お勉強、頑張らなきゃね』

『約束する!私、絶対、看護師になる!』






母の車の助手席でいつの日か宣言したことを私は忘れていなかった。

母に言う前に、誰かに私の夢を聞かれた気がしたけれど、気のせいかと、その時は軽々と受け流していた。

私は夏休み中、クーラーがガンガン効いた市民図書館で開館から閉館までびっちり勉強し、夜は帰って来ない父を待たずに早く寝て朝5時に起き、勉強していた。
 

勉強することで嫌なことを忘れようとしていたのだ。


勉強の虫になった私は誰にも心配されることなく、第一志望の旭ヶ丘高校に合格した。




1番しりたがっているのは母だっただろうけれど、 受験合格を母に知らせには行かなかった。















こうして私は高校生になり、今に至る。
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