HARUKA~愛~
私が着いた頃にはお昼を過ぎていた。

学校に行く前にマスター達に報告していったから、予定より遅い到着になった。

そのせいで彼は昼食を買いにでも行ったのか、いつもの場所にいなかった。



仕方なく、しばらくボーッと窓の外を眺めていた。

2月上旬、まだまだ雪は降り続ける。

来た時はふわふわと降っていた雪がしんしんと降って来ている。

この分だと明日にはかなり積もるだろう。

雪だるま、作れるかな?

雪だるまを作って遊んだ、あの頃にはもう戻れないのだけれど…。


そういえば、私は雪だるまを作ったことが無い。

しもやけになったら痒いし、痛いから止めなさいと母にきつく言われていた。

その約束は今まで1度も破っていない。

母との約束は私の中で、絶対だから。


過ぎ去った過去を思い返していると、聞き覚えのある足音が耳を通り抜けた。


「アオハル、人の席陣取って何やってんだよ!?」


どうやら彼が来たようだ。

よく通る大きな声を張り上げて、図書室だと言うのに無神経にも程がある。

呆れながらも、今日の私はハッピーな気持ちだからそんなに気に障らなかった。

声のする方に素直に振り向く。


「あっ…ごめん。実は、宙太くんに報告がありまして…」

「何だよ?…もしかして…」

「ここだと他の人の邪魔になるから、別の場所に行こう」

「ったく…もったいぶんなよ~!」


口を尖らせる宙太くんを連れて私は懐かしのあの場所に向かった。
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