プレシャス~社長と偽りの蜜月~
並んだ二つのベット。

雅人にありったけの怒りをぶつけたつもりだったけど、あれだけ言ってもまだ足りない。
後から後から沸々と怒りが心の底からこみ上げる。

彼の話してくれたすべてが嘘ではないかもしれないけど。

真実か否かは私には見極められない。

心の中は怒りに埋まり、なかなか寝付けなかった。


シャワーを浴びてパジャマ姿の雅人が入って来た。


私は反射的に振り返り、シーリングライトの仄暗い明かりの中、彼と目を合わせた。


「寝たのかと思った・・・」

「今から寝るわよ」

「そうか・・・寝られないなら俺が子守歌唄ってやろうか?」


「はぁ?冗談言わないでよ!」

私はカラダを起こして枕を投げつけた。

「スマホの次は枕か・・・」

雅人は軽々と枕をキャッチする。



< 28 / 87 >

この作品をシェア

pagetop