プレシャス~社長と偽りの蜜月~
「雅人?」

雅人は私の呼びかけに目尻を動かし、必死に瞳を開こうとしていた。

「雅人…起きて」

私は何度も彼を呼んだ。


雅人の二つの瞳はようやく開いた。

眩しそうにしながら雅人は私を見た。


「雅人・・・」


口許の酸素マスクが邪魔をして声は出せそうにないけど、雅人は唇を動かした。


「先生、伊集院先生を呼んで来るね」

私は椅子から腰を上げて、ナースコールを押した。

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