【短編】弱った君が愛おしい
「…翔吾、食べる?」
「だから……食べるって言ってるだろ」
いや、じゃあ起きてくれないと。
「じゃあ…」
「あ」
うお。まじか。
いつもは悪口ばっかり吐くその口が。
ゼリーを食べてる為だけに開いている。
って言うか、翔吾らしくない。
だってこう言うの1番気持ち悪がる人種でしょ、あんた。
私は、翔吾と目を合わせないように、スプーンでみかんゼリーをすくってから、彼の口にそれを運んだ。
スッとゼリーが入っていくと、翔吾の喉仏がゴクンと動いた。
あ、食べたのね、なんて思って。
喉仏から、持ってるゼリーに目線を移す。
ずっと一緒にいるけど、だけどこう言うのは初めてで、なんだか戸惑う。
密着しても平気な幼なじみもいるみたいだけど、私たちはそういう幼なじみじゃないから。
親友でも家族でもない。
犬猿の仲って言った方が近い気もする。
「…うつるよ」
「へ?…あっ、別に食べたくないし!」
あんまりゼリーを見つめてたらしく、翔吾に指摘されてしまった。
なんだ、なんでこんなに戸惑ってんの。
「…さくら」
っ?!