秘め恋





 アオイとの電話を終えた仁は、玲奈のアパートにいた。社会人になってから玲奈は一人暮らしをしている。

「アオイ、何て?」

「何でもないよ。玲奈は気にしなくていい」

 床に脱ぎ捨てていたネクタイを拾い、首に巻きながら仁は言った。

「ごめんな、玲奈。つらい思いをさせて」

「ううん。いいの。私は仁を信じてる。いつまでも、待ってるから。今はアオイを大事にしてあげて」

 玲奈は下着をつけ乱れた髪を整えた。彼女が腰を下ろすベッドには、生々しく二人分の体温が残っている。

「俺が好きなのは玲奈だけだから。この先何があっても」

「大丈夫。私も同じ気持ちだから」

 抱き合った時の熱が抜けきらない瞳で二人は互いを見つめ合い、軽く唇を重ね合った。また近いうちに会おう。約束し、仁は玲奈のアパートを出た。アオイがいない自宅へ帰るために。











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