未定
「由貴くんいるじゃん」
「は?まだ言ってんの?」
なぜか溜め息をこぼす亜美。
私からしたら、彼女は贅沢な女。
亜美には3つ上の兄がいる。
高校3年の私たちから見て、
兄の由貴くんは大学3年生。
中学の頃から仲良しの亜美だから、
当然由貴くんのこともその頃から
知っている。
由貴くんは誰よりもかっこいい。
私はあの時から今まで、
由貴くんよりかっこいい人を
見たことがない。
そんな人を兄に持つ亜美は、
兄のかっこよさが分からないと言う。
「由貴は止めときなって」
「別に好きとか言ってないじゃん」
そう。
別に好きなわけではない。
ただかっこいいと思うだけ。
好きではない、と、思う。