あの日みた月を君も
「友達?」

「まぁ、男子だけどさ。結構リョウのことわかってくれてる印象だけど。」

「そうなのかな。」

そう言いながら、現時点で学校の中では一番信頼できる人間であることは確かだと思っていた。

少なくともカスミよりは。

「なんだかんだでさ、例のやな女3人組みからかばってくれたり、リョウとの趣味も合うし、部活まで誘われたみたいだし。縁があるんじゃない?っていうか、その大山ヒロって男子、絶対リョウに気があるって。」

「ないない。」

それは絶対ないって思う。

男子が、好きな女子と単なる友達と接する時は大きく態度が違うもん。

友達には気さくに話せるけど、好きな女子となると、やっぱ気さくになんて話せない。

とりわけ、出会って間もなくて、お互いに何も知らないわけで。

知らないのに、あんなに大らかに私に声かけてくるのは、間違いなく女子として意識してないんだって思う。

「でもさー、気があるかどうかはわかんなくても、ヒロって子、リョウとは絡みが多いよね。それって、縁があるんじゃない?」

「縁?」

縁。

恋愛抜きにして、まぁ、今までにこんなに出会ってすぐ絡みの多い男子っていうのにはお目にかかったことがない。

そういう意味では縁はあるのかも。

「大事にした方がいいかもよ。大山ヒロ。」

ショウコは少し茶化すように言った。

「ま、それはおいといて。明日そういうわけで私ばっくれないといけないから、ショウコ付き合ってくれるでしょ?」

「え~。」

ショウコはしばらく考えた後、

「申し訳ないけど、明日は先約があるんだ。」

と言いにくそうに言った。

「先約?」

「うん、最近クラスで仲良くなった子に誘われて、人気の美容室に行くんだ。」

「人気の美容室??何それ。」

「なんでもカリスマ美容師らしくて、ようやく予約が取れたらしいの。その友達が将来美容師目指しててさ、勉強もかねて。一人で行くのもなんだから一緒にカットしてもらおうなんて言われちゃって。」

「そっか。」

なんだかガックリ。

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