あの日みた月を君も
ふぅ。

軽くため息がもれた。

そうだよね。

高校生活ももうすぐ3ヶ月目。

気の合う友達だって普通は一人や二人できる。

私はまだできないもんだから、こうやっていつまでも中学時代の親友にぶらさがってる。

ショウコとはいつまでも友達でいたいって思ってるけど、やっぱり離れてる分、少しずつ生活環境も周りにいる友達もそしてショウコ自身も変わっていくんだろう。

わかってはいたけど、面と面向かってそういう話を聞くのはまだ辛かった。

「来週の学祭には絶対行くから!ヨウコやトモも連れていくし。」

「うん、ありがとう。」

なんとか声を振り絞って言った。

あー、なんだか情けない。

ってことは、明日はなんとかごまかして私一人でばっくれるしかないわけで。

寂しすぎやしない?

カスミの恋愛成就のために、私がお膳立てしてあげるなんてさ。

私には彼氏やまだ同じ高校で友達すらいないってのに。

何やってんだか。

「リョウ。」

黙ってる私にショウコが言った。

「明日はさ、カスミって子のためにばっくれる必要なんてないと思うよ。一緒に行ってきなよ。ヒロくんも絶対その方がいいと思ってるって。」

「でもなぁ。カスミにはそうするって言っちゃったし。適当に用事作って2人きりの時間を作るようにするわ。」

「そういうのを、お人好しって言うのよ。もっと自分大事にしなきゃ。あと、その大山ヒロって子も。」


大山ヒロ。

ショウコが言うには私と縁があるらしいけど。

とりあえず、明日3人で顔合わせた時点での成り行きで考えよう。

「わかった。」

私はショウコにそう答えて電話を切った。
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