あの日みた月を君も
3.セリフ
3


今日はシナリオの読み合わせがある。

昨晩、端から端まで読んで発狂した。

こんなことってある??

片思いの友人の役なのに、どうしてこうなっちゃうわけ?

担任めぇ~!

単なるありきたりな学園恋愛ドラマだと思いきや、最後の最後で急展開が待ち受けていた。

最後はなんと吉本さながらのコミカルタッチな終わり方。

結局、主人公の相手役は、主人公でもなく、片思いしてる子でもなく、片思いしていた友人のことが好きだったって設定。

それに、最後のシーンなんて。

これ、現役高校生でやっちゃうってことさせちゃうんだから!

だけど、さすがにまた片思いの役に戻して下さいとは言えなかった。

いくらなんでも勝手すぎるでしょ。

朝、ヒロの顔をみた瞬間、最後のシーンを思い出して顔が熱くなった。

ヒロは知ってか知らずか、私にしらっとした顔で「おはよう。今日の読み合わせはよろしく。」と言った。

確かにね。

私の出番は本当に最後の最後だけ。

セリフだって本当にない。

そういう意味では本当にちょい役なんだけど、だけど、最後のシーンが。

「さぁ、俳優組集まって!読み合わせするぞー。」

担任は嬉しそうに手を叩きながら皆に呼びかけた。

その声に不覚にも胸がドキドキし始める。

意識しすぎだって、私!

ヒロはあんなに冷静なのに、私がこれしきのことでドキドキしてどうするのよ。




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