あの日みた月を君も
「私、どうすればいいんだろね。ショウコはどう思う?」

そう言って、私も最後の一口を頬ばった。

「うーん、どっちがリョウにとって重いかだよねぇ。」

「重い?」

「女3人組みに言われたことと、イケメンに言われたこと。」

「重い、ねぇ。」

女3人組みは面倒臭いだけだし、ヒロが言ってくれてることは単純に嬉しいっていうか。

二つを比べること自体ができない。

ただ、ヒロにあんな風に言われたことで、3人組みが霞んだことは事実だった。

「リョウは悔しくない?あのむかつく3人組みに言われっぱなしで。」

確かにね。

「立派にやりとげてみたら?例のシーン。浮ついた気持ちじゃなくてさ。」

「別に浮ついてなんかないよ、最初から。」

「なら、尚更だよ。もう稽古も入って来週から撮影でしょ?」

「今更交代は、皆に迷惑かけちゃうだろね。」

「私もそう思うけど?それに、」

「それに?」

「私はリョウのラブシーン観てみたいしぃ。」

ショウコはニヤリと笑った。

「やっぱ交代しようっと。」

私はおどけた調子で言って笑った。

そうだよね。

やっぱり。

あの3人組みには何また言われるかわかんないけど、これは私だけの問題じゃない。

クラス全体の問題なわけで。

やっぱり親友って大事だと思った。

これからもきっと、ショウコなら続いていく。

妙にすっきりとした気持ちで、ショウコと店を出た。
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