さくら 咲け


***

みんなのマフラーが段々と出来上がってきた頃。12月半ば。



移動教室のために廊下を歩いていると、肩をポンッと叩かれた。誰かと思って振り返ると、



「良太くん!?」



「よっ、麻奈ちゃん」




「...久しぶりだね」



「だね、こうやって話すの。文化祭以来かな」



「う、うん」



文化祭以来、と言うより、あの告白以来、私は良太くんを避け続けた。



「まだ、決めらんない?」



「...うん。ごめん」



「大丈夫だよ。真剣に考えてくれてありがと」



良太くんは、私以外の人を好きにならないのかな。なんでずっと私を好きだと思えるんだろう。



「そーいや、マフラー作ってるんだって?」



「うん。沙奈から?」



「そ。俺に作ってくれてる?」



「ち、違う!」



思わず思いっきり言っちゃって、傷ついたかな、と思ってしまう。



「ちょっとくらい期待させてくれたっていいのに酷いなぁ」



「ごっ、ごめん」



「冗談だよ。本気にすんなって。」



本気にするよ。だって、良太くんの言葉は一言一言本物だもん。本気だもん。



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