愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
そのまま無言で部屋に戻り、海斗が買ってきた弁当を食べた。
奏多さんは、コンビニの弁当なんて食べたことはあるのだろうか。

「……おいしい。やっぱり私には、こういうもののほうがいいわ。背伸びしすぎて、ちょっときつかったかも」

「無理するな。背伸びしていることなんて、言わなければわからないことだ。様になってたからいいんじゃない」

彼なりの慰め方に、私は笑う。
不器用だけど、私を一番わかってくれる。海斗を好きになれたならよかった。

「夢のような時間はあっという間に終わったわ。早く忘れなくちゃ」

「忘れる必要はない。それもお前の財産だ」

「そっか。……そうだね」

海斗の言葉に救われた気がした。

奏多さんは私の心にいる。いつだって、その顔を思い出せるのだから。

素顔の彼が驚くほどにピュアだったことは、ずっと忘れない。




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