愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「まずい、見つかる。こっちに来て」

急に私の手首を掴むと、彼は走り出した。

「あの!どちらへ……!」

彼に引っ張られる体勢で尋ねる。
なにがなんだかわからない状態だ。

「悪い。少しだけ付き合ってほしい」

簡潔にそう言うと、彼はすぐそばにあった会議室のドアを開けた。
私も中に入ったのを見た瞬間に、素早くドアを閉める。

「CEO!私は戻らないと……!」
「シッ……!黙って」

小声で言われ素直に黙る。

彼が私の身体を抱きしめるような体勢になりながら、ふたりで息をひそめた。
そのとき、廊下をパタパタと走る数名の足音が聞こえた。

「行ったな……。あ、悪い」

私が自分の胸の中で固まっているのに気づき、彼は私の身体をパッと離した。

「驚かせたね。咄嗟に一緒に連れてきて悪かった。なぜか、あのまま君を残していけない気になって」

言い訳をする彼の目を見ることができない。
私の心臓は痛いほどに鼓動を速めていた。ドキドキして、どうにかなってしまいそうだ。




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