愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「どうしてって。瑠衣とゆっくりしたかったから。意思疎通記念旅行?みたいな。なにせ俺たちは、始まりが特殊だったからな。気持ちを切り替えるイベントが必要なんだよ」
彼は私を見てニコッと笑うと、私が押さえていた帽子を取って自分で被った。
大きな赤いリボンがついているが、これも似合う。
私は上を見上げる。
雲ひとつない青空が、私たちの頭上にあった。
辺りを見回すが、人影はない。
「なんじゃそりゃー!なんでなのー!」
私は叫んだ。
「あはははっ。でかい声だ。今日の瑠衣は、威勢がいい」
彼を見ると、楽しそうに笑いながら、足元の荷物を抱えている。
「別荘に行こう。日差しが強くなる前にね」
歩きだした彼について、私もヘリポートから続いている歩道を歩いた。
しばらくすると、目の前に白い大きな建物が木の陰から見えてきた。
「えっ!なにあれ。城?城なの?」
中世のヨーロッパを思わせるような豪華なつくりの建物だ。
「城じゃない。だから、別荘。今日はここでゆっくりしよう。婚前旅行だと思って」