愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
受付業務にもようやく慣れ、私はなんとか新しい環境に馴染みつつあった。
「あー月島CEO。本当に素敵よねぇ」
同じく受付業務を担当する、同期の沙也加と私は、出会って間もなく意気投合し、仲良くしている。
「……本当にね」
月島建材では、奏多さんは皆の前で結婚すると宣言したが、ここで私は堂々と言うことなどできなかった。
彼と会ったのは一度きり。
自分に自信がないせいでもある。
「あんな人が実際にいるなんて。容姿端麗で、頭脳明晰で、月島グループの御曹司!欠点なんてなさそう!きっと私生活もゴージャスなんだろうな。それに優しそうだし。付き合ったりしたら、お姫様みたいに大切にされそう」
「……かもね」
受付に戻り、座って業務を開始しようとしている私の隣で、沙也加はうっとりした顔で話す。
あと少しで終業時間となる。
締めの業務にも慣れてきた。
「ちょっと!瑠衣は淡白すぎよ。もう少し反応してよ」
私のそっけない返事に、彼女が不満を漏らす。
「いや、私だって素敵な人だと思ってるわよ。だけど現実的じゃないじゃない?月島CEOとどうにかなるなんて、あり得ない話よ」