福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜

「おじさんばっかり参加してたんじゃないかと思ったけど、イケメンがいてよかったじゃない!しかも御曹司って!」

 それで、旦那候補は出来たの? と、最後に付け足した優佳の言葉を聞いて、私は、返事をする前に大きく溜息をついた。

「その様子だと、負け戦だったみたいね」

 返事をする前に、私の様子から結果を察したらしい彼女は、心底心配そうな表情を浮かべた。

 彼氏がいるならまだしも、彼氏もいない。その上、長続きする彼氏なんてここ数年はできていない私。いい加減結婚してほしい、と何度となく私の心配をしている彼女にこんな表情をさせるのはこれで何度目だろうか。

「ねえ、そのイケメン御曹司はダメだったの? 婚活でそんなイケメンがいるなら、捕まえておくべきじゃない」

「あー、うん。そうだよね。悪い人ではなかったんだけど……」

「イケメンな御曹司で、悪い人じゃないって。それなら、何も問題ないでしょ! 顔が良くて将来安泰だなんて、超優良物件!一体、何がダメなの?」

 〝イケメン〟〝御曹司〟という言葉に過剰に反応して推してくる優佳。

 彼女は私がこの会社に入社する一年前に入社したらしい。入社してから、同い年の彼女に分からないことを尋ねることも多く、私は、気づけば入社当時からずっと優佳と一緒にいた。

 彼女と三年以上一緒にいるけれど、確かに彼女は〝面食い〟である。俳優クラスのイケメンを見つけるとすぐに恋する乙女のように顔色を変えて騒ぎ出す。顔は確かに大事だとは思うが、私の場合、そこまで顔がいいと逆に気が引けるな、というのが正直なところだ。

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