肖像画とノイズ(短編集)
波の音
【波の音】


 穏やかな波の音を聞きながら「波はどこに行くんだと思う?」と彼女が言い、僕は首を傾げる。
「じゃあ私はどこに行くんだと思う?」と彼女が続け、僕はもう一度首を傾げた。

「分からないわよねぇ」
 彼女は寂しげに頷き、消えてしまった。穏やかな波音だけが響いていた。



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