1日10分、俺とハグをしよう


「…それ、好きな人がいるから?」





くいっと指で顎を持ち上げられた


目の前の綺麗な顔に、息を飲む



右耳のピアスが、キラって一瞬光ったように見えたのは…気のせいかな





「…うん」




小さく呟く




…分かってる。

藤堂が私にこだわるのは、私がこいつに興味がないから。


だから、今、私が藤堂を好きだってバレたら、


…奴はぜったい、私から離れちゃう。




でも、そんな、




「(そんな悲しそうな顔するのは、ズルイよ)」




言いたくなっちゃうじゃんか


私が好きなのはあんただよって





「…どこのどいつ、それ」






低くて掠れた声なんか聞いたら、


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