人間複製機
☆☆☆

落ち着いて会話がしたいと思ったあたしは、デパートの1回にあるベーカリーに入っていた。


美味しそうなパンの香りが漂ってきて、食欲をそそられる。


「なんでも好きなものを食べていいよ」


あたしがそう言うと、大雅は5種類のパンとアイスティーを選んで席に座った。


さすが体育会系だけあって食べる量も多いようだ。


メロンパンとオレンジジュースを選んで、大雅の分まで支払いを終わらせると席に座った。


「話って?」


相当お腹が減っていたのか、大雅はすでに食べ始めていた。


「弘樹の事なんだけど」


「あぁ。お前の彼氏だろ?」


大雅にそう言われてあたしは目を丸くした。


「そんなわけないじゃん。なに言ってんの?」


驚いてそう聞き返すと、今度は大雅が驚いた表情を浮かべた。


「嘘だろ? お前ら最近毎日一緒に帰ってるじゃん」


「それは家の方向が同じだから!」


あたしは思わず大きな声でそう言い返してしまった。
< 100 / 211 >

この作品をシェア

pagetop