人間複製機
「だからって毎日一緒に帰るか?」


そう聞かれると返事に困ってしまう。


確かにあたしの行動は誤解される原因になったかもしれない。


「大雅が勘違いしてるってことは、他のクラスメートも勘違いしてるってことだよね?」


あたしは力なくそう言った。


さっきまでの楽しい気分が一気に消えて行くのを感じる。


弘樹と付き合っているだなんて、冗談でも噂になってほしくなかった。


そんな噂が流れれば、弘樹が調子に乗ってしまうかもしれない。


「そうだな。たぶん、そうだと思う」


大雅は早くも最後の1つにかぶりついてそう言った。


「でも、付き合ってなかったんだな?」


「そうだよ。弘樹には柚香がいるじゃん」


「あぁ、柚香か。確かに柚香はずっと弘樹の事を見てるよな。でも完全に片想いだろ」


大雅の言う通りだ。


柚香は完全に片想いだ。
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