人間複製機
けれど、さすがにクラスメートの妹からぬいぐるみを奪うワケにはいかない。


あたしにだってそれくらいの分別はつく。


あたしは喉から出かかった『欲しい』という言葉をどうにか飲みこんだ。


「まぁ、大丈夫そうなら明日持ってくるよ」


「え、あっ……」


断らなきゃと思うのに、このチャンスを逃しちゃいけないとも思ってしまった。


あたしは断る暇もなく、弘樹は自分の席へ戻って行ってしまったのだった。

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