人間複製機
☆☆☆

教室に戻ったあたしはドカッと自分の椅子に座った。


どうして弘樹にあんなことを言われなきゃいけないのか、思い出しただけでイライラした。


すべて順調に行っているのだから、少しのミスくらいどうだっていい。


弘樹はまだあたしの事が好きで、少しでも接点を持つためにわざわざうるさく言ってくるのかもしれない。


それなら弘樹の言葉なんてもう無視してしまえばいい。


そう思い、あたしは自分のイライラを沈めたのだった。


「陸人、元気がないけど大丈夫？」


そっと陸人に近づいてそう聞いた。


陸人はあまり眠っていないのか、目の下にクマができている。


「あぁ……大丈夫」


複製の陸人もそうだったけど、本物の陸人もナオのせいで精神的にまいっている。


昨日と同じように陸人の体を抱きしめたかったけれど、さすがにここでは無理だった。


「あたしはいつでも陸人の味方だからね」


代わりにそう言うと、陸人は表情を緩めてくれた。
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