人間複製機
「俺、もうナオの事がわからない。あんな事をする子だったなんて……」


「大丈夫だよ陸人。ナオの事を考えるのはやめて、もっと楽しい事を考えようよ」


そう言うと、陸人はあたしの手を握りしめて来た。


複製とは違う、本物の陸人の手の温もりだ。


「ありがとうマキ。マキはいつでも優しいよな」


「あたしは陸人のおさな馴染みだもん。ずっと一緒にいたんだから、陸人を支えることだってできるよ」


だから、ナオの事なんて早く忘れて。


「マキのおかげで少し元気が出て来たよ」


「よかった。他の誰の事も信用できなくなったとしても、あたしの事だけは信用してて大丈夫だからね」


そう言うと、陸人は素直に頷いたのだった。
< 176 / 211 >

この作品をシェア

pagetop