人間複製機
あたしがそう言うと、柚香は見る見る内に頬を赤く染めて行った。


今まで外見を人に褒められた事がないのかもしれない。


「可愛いなんて、そんな……」


「本当だよ? 目が大きいのに前髪を伸ばしてるから気が付かれないんだよ」


あたしはそう言い、胸ポケットからヘアピンを取り出して柚香の前髪を上げた。


それだけで明るい雰囲気に変わる。


「眉毛を少し整えれば十分だから。頑張ってね」


あたしはそう言うと、柚香に手を振って教室へと戻ったのだった。
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