人間複製機
驚いて振り向くと、そこには幼馴染の菊池陸人(キクチ リクト)の姿があった。


背の高い陸人に至近距離で見おろされると嫌でも威圧感を覚えてしまう。


あたしはぬいぐるみに伸ばしていた手を引っ込めて陸人を睨み上げた。


「マキ。お前また人のものを欲しがってんのかよ」


陸人が呆れたため息を吐き出す。


「たまたまナオの持ってたぬいぐるみが気になっただけだし」


あたしは冷たく返事をして歩き出した。


ナオと陸人もついてくる。


陸人はまるで母親みたいだ。


陸人が来なければきっとナオはあたしにぬいぐるみをくれていたのに。


あたしは空を見上げた。


やっぱり今日は最悪な日かもしれない。


なんかいい日かもなんて思ったのはあたしの勘違いだ。

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