人間複製機
「いくらでもって、そんなに沢山持ってるの?」


「いやそうじゃないけど、でも似たようなもんだから」


妙な言い方だったけれど『お金が沢山あるから購入できる』という解釈もできた。


「妹さんに申し訳ないなって思ってたの。これ、お礼に渡してあげてくれる?」


あたしはそう言い、準備していた紙袋を鞄から取り出して弘樹に渡した。


中身はカチューシャだ。


ピンク色のリボンが付いている、子供向けの商品。


「別に、気にしなくてもよかったのに」


そう言いながらもおずおずと手を伸ばす弘樹。


「幼稚園の子からぬいぐるみをもらったままなんて、そんなのダメでしょ」


そう言うと、弘樹は少し困ったような表情を浮かべた。


「ありがとう。妹もきっと喜ぶよ」


そう言って紙袋を自分の鞄にしまった。


「弘樹、髪の毛染めたんだね」


「あ、うん……。どうかな?」
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