人間複製機
その間もあたしのイライラは止まらない。


陸人とナオはいつの間にあんなに仲良くなったんだろう?


あたしが毎日買い物をしている間にナオは陸人へ取り入ったんだろうか。


そう思い、ローファーで地面を蹴った。


なんで2人の距離が近づいていく事に気が付かなかったんだろう。


あたしはずっと陸人を見て来たハズだった。


幼馴染で、誰よりも近くにいたハズだった。


それなのに……!!


「マキ?」


そう声をかけられて顔を上げると、弘樹が立っていた。


弘樹は戸惑った表情を浮かべている。


こんな所であたしが待っているとは思っていなかったんだろう。


「お金がいるの」


あたしは一言そう言って、弘樹と2人で歩き出したのだった。
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