愛しのエマ【完】

きっと
頭がいいエマさんは海外で大切な仕事をしているから、こちらには来れないのだろう。

副社長の顔が沈む。

「奈緒さん」

「はい」

「疲れた」

お仕事忙しいですものね。
「肩でもマッサージいたしましょうか?それとも栄養剤でもお持ちしましょうか?」

「いい」

ゴソゴソと副社長は動き
私を大きなソファの端っこに移動させ、自分は靴を脱ぎ足をはみ出せながら、私のひざに頭をのせる。

えっ?
いきなりの……ひざまくら?

「奈緒さんはクッキー食べてて。僕は寝る」

「副社長」

「奈緒さんに甘えたい。奈緒さんがいい」

大きな体を小さく丸め
私の方を向いて背中を丸めた。

「ふっ……副社長」

「ここが一番安心できる。30分で起こして」

そう言って寝息をたてる。

柔らかそうな前髪
キメのある肌
長いまつげ

副社長は一生懸命頑張っている。

こんな甘えた姿を見せてくれるけど
外では笑顔を見せて
嫌な顔もせず
社長と一緒にご挨拶に回り
会議に出て
勉強もしている。
評判もかなりいい。

そして

こんな私を頼ってる。




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