アンダンテ
零章

 久し振りに会ったのは夏休み。

東京から帰省して、少しは暑さの緩和を願っていたのに、寝ているだけでも汗を掻く。

 クーラーの無い家で快適に過ごせる筈もなく、特等席の扇風機の前で、わたしも、地元の大学に通っている姉も何度も唸っていた。


「陽向、アンタ邪魔。大体2人でこんなひっついてたら余計暑苦しいじゃない」

「だったらお姉ちゃん退いてよ。課題あるんでしょ」

「陽向に言われたくないわね」

「わたしは昨日終わりましたぁ」

 わざと間延びした声を出すと、お姉ちゃんは不機嫌そうに眉を顰めた。課題のあまりの多さに憂鬱らしい。だったら早く終わらせればいいのに。は、禁句だ。夏の苛つきには特に。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop