アウト*サイダー
「ケイ。まず、落ち着こう。君が今しようとしてることは人生最大の過ちを犯そうとしてるんだよ? 将来、その黒歴史の呪縛に苦しめられるかもしれないのに」
焦る気持ちを何とか抑えて朗らかに宥める私とは正反対に、ケイの阿呆面……いや、不思議そうな顔。
そして彼は首を傾げ、天使のような柔らかい微笑みを浮かべて……
「だって、そのくらいしないとハスミ、俺から逃げちゃうじゃん」
本日二度目の雷が落ちる。
ケイは笑ってる……けれど、その笑顔が妙に不気味。
さっき私の嫌がることはしないって言ったでしょ、そもそも付き合うなんて言ってない、とか言いたいこと沢山あるけど、どれを言っても口下手な私ではケイに言い負かされてしまう気がした。
階段の踊り場で留まる私とケイ。二人とも黙り込むと、降り続く雨音や教室からの教師の声、黒板に字を書く音まで耳に届く。
「私、ケイから逃げようなんて思ってない……て言いたいけど、実際、上手く逃げれたら良いって思ってた」
私の言葉にケイは下を向いた。どんな表情なのか見えない。