アウト*サイダー

 沈黙が続く。

 決死の告白に、何の反応もないケイ。どういうことか問いただそうと、顔を上げようとしたその頭を、彼の手が阻止した。

 胸に押さえつけられた耳には、聞いたこともない位にバクバクと鳴る心臓の音が聞こえていた。

「今のは……俺を、抱き枕か何かと思って言ったの?」

 不機嫌な声だ。私の答え方によって、彼との関係が変わってしまうだろう。

「ただの抱き枕だったら、こんなに私を安心させないし、ドキドキさせたりもしない」

 本心のままを伝えた。ケイはそんな私に、大きく息を吐き出して背中に腕を回すと、私の首元に顔を埋めた。

「俺は、無駄に人を不安にさせるハスミにドキドキしてる」

 力なく言った彼の息が耳にかかって、思わず身をよじらせる。それをどう捉えたのか、ケイが体を引いて、まじまじと私を見つめる。

「な、何? 私の耳に……息が……だから、くすぐったくて」

「ふーん、そう」

 それだけ言ってケイは再び私を抱きすくめた。今のは何だったんだ、と疑問に思うより前に、それは起こった。
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