アウト*サイダー
イツキは中学校の入学式から目立っていた。
その容姿も、社交的な性格も。
一年、二年と違うクラスだった社交性ゼロの私とも仲良くしてくれるような奴だった。
同じクラスになった時はすごく嬉しかった。私とトクラ、イツキ、カナト。この四人が中学最後に一緒になったことを、誰でも良いからお礼を言いたくなったぐらい。
でも、同じクラスになんてならなければ良かった。
そうしたら、こんなにも辛い思いを誰もしなくて済んだ。トクラとカナトが別れることもなかったのではと考えてしまう。
もう元には戻れないのに、こんなことばかり考えるのをトクラは止めろと言うけれど、後悔を一つだけ解消させられるとすれば、二人が別れる原因をつくってしまったことを消したい。
子供過ぎた私を、叱りたい。
空き教室で私に馬乗りになった女の頬を殴り倒し、記憶が曖昧なほど暴れ狂ったせいで事が大きくなって、トクラにも知られてしまった。自分の彼氏が友達へのいじめに加担したのだと。
下を向いていた私の頭上から、優しい声が降ってきた。
顔を上げた私に彼が優しく微笑む。
「電車来たよ」
せっかくのデートを台無しにしてしまった私を、彼はどう思ってるのかな。
イツキのことを何も聞かずに、ケイは黙って私の手を引く。やってきた電車は空いた座席がない程混んでいて、つり革を持った彼の隣で私も腕を上げようとすると「ハスミは俺に掴まって」それを自分の腕に掴ませた。