アウト*サイダー
「ほら、チャイム鳴るぞ! 他クラスの奴らはさっさと自分の教室戻りなさい」
教壇に立った前澤先生は、近くにいた男子達を気安い感じで追い払い、改めて教室を見渡した。
「……この後すぐに体育館に移動だ。服装と頭髪チェックがある。髪の色をまだ戻していない奴は黒染めしてもらうからな」
先生にはこの異常な状態のクラスを見ても、何も気付かなかったようだ。訴えるように視線を向ける私から目をそらした。
そうか。先生は生徒の服装の乱れと髪の色以外、何も気にしないのか。
机が不自然に消えていることも、信じていた友人に見放され、机にうつ伏せている生徒のことも、いちゃつくカップルを尋常じゃない目で睨んでいる女子達のことも、全て。
まぁ、そんなものか。
ドラマみたいな熱血教師なんか存在しない。中学とは違って、高校は嫌なら辞めればいい。
「すみません、先生。どうやら誰かの手違いで私と伊織さんの机が失くなっていたので空き教室から替わりの机を運んできて良いですか?」
ここで憐れっぽく喚いたって、犯人を暴こうとしたって、腹の底に溜まった鬱積は晴らせそうにないから、それならば一刻も早くこの場から出ていきたい。
もう、どうでも良い。
決まりの悪い顔で頷く担任に返事もそこそこに廊下を出ようとすると、野次馬の壁が左右に割れて道を開けてくれた。
下を向いたまま歩いていくと、その行く手に誰かが突っ立っている。邪魔だなと思って顔を上げる。