アウト*サイダー

 なにそれ、初耳!

 アルバイトのウェイターにはああ言ったが、トクラも私と同じで恋愛に無頓着で、ついこの間も電車で乗り合わせたカップルに一緒になって白い視線を向けいてたのに!?

 楽しげに電話するトクラの表情には、見たことなかったような女の顔が……

「ウザいからもう電話切っていい?」

 …………。

 うん。なんかちょっとだけ安心したよ。

 そして、どこぞの誰かは知らないトクラの彼氏よ。下僕になるしか生きる道はないだろう。

「それで、ハスミはどうなの?」

 まだ見ぬトクラの下僕に幸があるように祈りを捧げていた私へ、頼んでからずっと放置されていたヘナヘナのポテトフライをマイク代わりに向けてくる彼女に目をぱちくりさせる。

「何のこと?」

 遠慮なく向けられたポテトをむしゃむしゃ頬張る。彼女は「ヤギかっての」と毒舌が止まらない。

「ハスミに言い寄ってくる虫けらがいるかって聞いてるの。まぁ、居ないとは思う……」

「虫けらって言わないでよ!」

 思ったより声を荒げてしまって、慌てて口を押さえた。
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