シンシアリー
ユーグが心に決めたこと
瞬く間に4ヶ月が過ぎた。

レティシア姫とユーグの仲は、進展した・・・とは言えない。
だが羽根ペンの一件以来、ユーグは、姫に悲しい想いをさせないと、心に決めた。
羽根ペンの一件は、ユーグが直接、姫を悲しませたのではないが、あのときユーグは、父親のセイヴィアーから、公家の中において、姫の立場が生まれたときから非常に“複雑”であることを聞かされたことで、初めて姫の家族関係について知ったのだ。

・・・姫様は、家族から十分な愛情を注がれる事無く、それでいて姫であるが故に、束縛された日々を送っていらっしゃると言う。だから姫様に対して、俺はそんな振る舞いをしてはいけない。いや、そんな恥ずべき振る舞い、男として、人として、すべきではない。
姫様への想いは届かなくてもいい。せめて一友人として、姫様を悲しませることだけはしたくない。
俺のことをある程度は信頼してくれている姫様のことを愛している。だから大切にしたい。姫様の想いを裏切るような真似だけは、したくない・・・。



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