シンシアリー
「・・・貴女のことを嫌いになるなんて一生・・いえ、死んでも起こり得ないことです」
「まぁ。ありがとう、ユーグ・・あら。あなた、顔が赤いわ。熱があるんじゃない?」

そう言ったレティシアが、ユーグの額にそっと手を当てたのは、ごく自然な行為だろう。
観念したユーグは、ただ目を瞑って、レティシアのなすがままになっていた。

「やっぱり。ちょっと熱いわね。大丈夫?」
「だ・・大丈夫です。これが俺の“普通”ですから」

・・・「貴女への想いが俺を熱くさせてるんです」なんて・・・姫様には絶対に言えない・・・。

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