シンシアリー
「各国境警備隊隊長からの報告によると、この1ヶ月の間、国境を越えて不法侵入をした外国人は一人もいないそうだ」
「正規に訪問している外国人でもない、となるとやはり犯人は・・・」
「うむ。我が国の者の仕業と断定せざるを得ぬ」
「しかもこのようなむごい殺し方ができるのは、やはりある程度力のある男性。それも、剣が使える。恐らく犯人は、女性を憎んでいる・・」
「分かった!騎士の仕業だよ。そうに違いない!父上」
「いや。それはあり得ぬ」
「もうこの話は止(よ)しましょうよ。今は食事中ですのよ」
「そうだったな。すまない、アレッシア」
「ごめんなさい、公妃様」

ゼノス大公とレティシア姫は、素直にアレッシア現公妃に謝ったが、ヘルメースは肩をすくめただけで、あとは黙々と食べることに専念した。

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