シンシアリー
レティシアは、あれから毎日ゼノス大公の執務室に赴き、「自由をください」と訴え続けた。
一方、ヘルメースは、レティシアが召使たちと仲良くしていること―――これは昔からそうだったがヘルメースは気づいていなかった―――そして明らかに、彼らから慕われていることに対して苛立ちをあらわにした。
しかも召使たちは、レティシアに倣って自分の事を避けている様子。
根拠はないが、以前よりもますますそう感じるようになったことにも、彼の苛立ちに拍車をかける。
しかしヘルメースは、レティシアが持っている優しい心や人望の厚さ、といったすべてのことに対して嫉妬していることには、気がついていなかった。

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