シンシアリー
ユーグと再会を果たしたばかりのレティシア姫は、もちろんそんなことは知らないが、彼に見つめられ、そして微笑まれると、確かにおなかの奥の部分がくすぐったいような、ムズムズするような感じになり、思わず彼から目を逸らしてしまうくらい、胸がドキドキと高鳴るのを感じた。
14歳の姫は、それがどんな反応を意味するのか分からなかった。
何せ、姫が異性に見つめられてそんな風に感じたのは初めてのことだったし、いくら知能が高くても、実のところは奥手である姫は、自分がユーグを異性として意識していることすら気がついてなかったのである。

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