ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
 ゴールデンウィークが過ぎ梅雨が明け、その間に広海君も彼と仲直りしたりケンカしたりとすったもんだありながら、ようやく迎えた、夏。広海君からのメールでみんなで映画を見ようという事になって、待ち合わせ場所のオープンカフェにやって来た。

「ちょっと早かったかな」

カウンターでアイスコーヒーを注文して、それを手にオーニングの庇の下のテーブルにミライと座った。

(こういうのやってみたかったんだよな)

オープンカフェで佇むふたりってヤツを。

「タカシ、ここだと暑くない?」

と手で扇ぎながら聞いてくるミライ。

「うんまあ、外だからね。暑かったら重ねて着てるの脱いだら?」

「うん」

とミライが頷いて七分袖のジャケットを脱ぎ、肌も露わな肩紐の細いキャミ姿になった。

(おお…)

鎖骨に掛かるチラリと見えるブラの肩紐と、グッと強調された胸の谷間を思わず凝視。

「ヤダ、どこ見てるのぉ~」

と胸元に手を当てながら照れてみせるミライ。いやゴメン、そんなつもりは無かったんだけど。

「もう。フフ」

とミライがフクれて笑ってみせた。

(うーん、カワイイじゃないか)

この数ヶ月で、ミライはかなり『女の子らしさ』が身に付いてきた。広海君やルミちゃんたちを見てまねしているところもあるだろうけど、何より実験にモニターとして参加してくれたたくさんの学生たちの姿を観察できたことが大きい筈だ。

(飲み込みが早いよな)
< 105 / 324 >

この作品をシェア

pagetop