ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
 次の週の金曜日。実験室で夏休み最初の実験を行った。さすがに暇な学生が多いのか、モニターになってくれたのは男女10人づつ計20名の大所帯だった。

「始めるわよー」

と広海君の声で実験が始まる。傍では白衣姿がすっかり身に付いたミライが、じっとガラス越しに無音室の中を覗き込んでいた。

「ねえ、一度ミライさんも実験やってみない?」

オイッ!何を言い出すんだコイツは!

「ううん。私あんまり入りたくないの。この部屋」

と眉を顰めて首を振るミライ。

「…そっか。病院みたいな装置ばっかりだもんね。ごめんなさい。もう言わないわ」

と申し訳なさそうに声を返す広海君。どうやら倒れた後に組み込んだミライのプログラムと、広海君の勘違いが上手く働いたようだ。

「先生もたまには中に入ってみませんかぁ?」

とパッと振り向いてくる広海君。

「いやいや、よかったら君の頭の中の方を詳しく調べてあげるよ」

どんな思考回路なのか知りたいものだ、ウン。

「遠慮しまーす」

と澄ました返事が返ってきた。

「プルルル…」

と携帯が鳴り出した。珍しく所長からだ。
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