ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「センセー、ここケータイ厳禁です」

と広海君にツッ込まれて慌てて廊下へ出て電話に出た。

「所長、どうしたんです?」

画面に映る白衣姿の所長に話し掛けた。

「今すぐミライと一緒に来てくれないか」

と息せき切った声と共に所長の顔がドアップになった。

「えっ?もう感じるココロが完成したんですか!」

「いやいや、完成と言うにはまだまだだけど…」

と急に声の勢いを無くす所長。何だ、せっかく期待したのに…。

「詳しい事は後で話すから、とにかく、今すぐミライを連れて来て欲しいんだよ」

と所長がまた急かした声になった。

「そんな、今すぐって言われてもこっちもたった今実験始めたばっかりなんですよ」

それもモニターが20名の大所帯だ。実験自体は広海君に任せられない事も無いけど、データの処理がハンパじゃない。

(なにせ20人分だしな)

扉の内側で待っている広海君がどんな顔を見せるか。

「何とか都合をつけて来てくれないか。お願いだ」

といつになく強い調子の所長。これはタダ事ではないナ。

「…わかりました。なんとか行きますよ」

頷くしかなさそうだ。
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