ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
 両手一杯に紙袋を持って、広海君の部屋までやって来た。途中でケーキセットまで奢らされて。いい荷物持ちだよマッタク。

「ねえ先生、一緒にピザ食べない?」

と玄関ドアを開けた所で、郵便受けから引き抜いたチラシを広海君が目の前に掲げてきた。

「ピザ?」

チラシには色鮮やかなおいしそうなピザがズラリと並んでる。

「これは私が奢るから。今日のお礼。ね」

と言うが早いか僕を引っ張り入れて、後ろで閉まったドアにガチャンと鍵を掛けた。ん?

(まさか、誘う気じゃないよな?)

普通の女性相手なら嬉しいトコロだけど。

(なにせ広海君だしなぁ)

教え子だなんて関係ない、なんて言われる前に、性格の合う合わないがある。

(…でもスタイルはいいんだよなあ)

抱きつきたくなるような腰付きにちょっと期待しちゃうのが悲しいトコロ。

「センセー、ここ座ってて」

と先に部屋に入った広海君が指した先に、ベッドを背にして丸いブルーのクッションが置かれていた。カーテンもブルーでベッドカバーもブルー。ローテーブルとチェストはこげ茶で、黒い本棚には少年コミックが並んでる。

(男っぽい部屋だな)

辛うじて、チェストの上に並べられた化粧品やらぬいぐるみやらプリクラがベタベタ貼られたミラーやらが女の子らしさを演出してる。
< 139 / 324 >

この作品をシェア

pagetop