ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「あっ先生、データをDVDに焼きたいんだけど、残りが無いみたい」

と広海君が脇机の引き出しを覗き込みながら声を上げた。

「え、もう無いのか。じゃあ買って来てよ」

「ハーイ」

と顔を上げた広海君が、パッと向こうを見た。

「ねぇミライさん、一緒に買いに行かない?」

「エエッ!」

待った待った!二人で行ったら、何が起こるかわからないじゃないか!と、広海君がパッとこっちを振り返った。

「ちょっとぉ、何をそんなに驚いてるのよ先生ぇ」

と訝しげに聞き返してくる広海君。シマッタ、つい声が。

「あ、いや、何も二人で行かなくてもいいんじゃないかな、と」

手を振ってゴマかした。

「どうして?そんなに忙しいわけじゃないんだし、一緒に買い物行くぐらいイイじゃない。ねえ」

とミライに同意を求める広海君。ミライも頷いて僕の方をじっと見ている。どうにも断りにくい雰囲気。

「ねぇ、いいでしょ先生」

と首を突き出して迫ってくる広海君。ミライもじっと傍に来た。

「…うーん、まあ、いいけど」

寄ってくる二人の圧力に負けた。

「良かった。じゃあ、行ってきま~す♪」

と楽しそうに出て行く二人。ついでに何を買おうかと相談までして、ま~るでショッピング気分だよ。

(う~ん大丈夫か?)

どうも心配だな。

(何かあったら困るのは僕なんだよ)

よっぽど後について行こうかと思った。

(…所長がついて来た気持ち、わかりましたよ)

とりあえず椅子に腰掛けてみたけど何も手につかない。こんなに落ち着かない気持ちだったんですねぇ所長…。
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