ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
 その日は、貯まっていたデータのバックアップから始めた。ミライが教えた通りに黙々と手伝ってくれる。

(コンピューターがコンピューターを扱ってるようなモンだもんな)

飲み込みが早くて当然。

「手馴れたものね。どこか研究室にいたの?大学院?日本に来る前はどこに居たの?」

来た。ついにその質問が来た。

(何て答えよう…)

まだいい答えは用意出来てない。と、ふと見たミライが、ニッコリ微笑んで頷いてるじゃないか!

(まさか、答えるつもりか!)

ミライが返す言葉にハラハラと耳を澄ました。

「日本に来る前に居たのは、アメリカの西海岸」

西海岸と聞いて思い出した。

(クワンか!)

なるほど、うまい答えだナ。

「西海岸かぁ。憧れちゃうなぁ。どんなところにいたの?」

と広海君の問い掛けに、ミライが答えた。

「シリコンバレーにある、サンタクララっていう所。大きくはない街だけど、世界的なハイテク企業の本社もあるの」

「へえ」

つられて僕も頷いた。

(どこで覚えたんだろう)

初めからデータとしてあったのか、それともクワンとおしゃべりしながら覚えたのか。

「ま、口を動かすのはそれぐらいにして、手を動かしてくれよな」

あんまりツッ込まれるとボロが出そうだから、程々にしておかないと。
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