探偵喫茶へようこそ


くだらないと思ったのか、知由は鼻で笑った。



「さあな」


「……本当にわかんねえの?」



知由の反応に、一弥は疑問を抱いた。



誘拐事件の真相を見抜き、自ら巻き込まれに行ったくらいの天才だ。


わからないわけがない。



そう思ったのだ。



「だから、さっきも言ったであろう。自信がないのだ」



だが、知由は同じようなことを言うだけだった。



「はいはい。じゃ、確かな仮説が出来たらまた教えてくれ。誘拐事件の真相から、すべてな」


「もちろんそのつもりだ」



一弥はそれを聞いて満足したのか、嫌がられるとわかっていながら、知由の頭に手を置いた。


知由はすぐさま一弥の手を払う。


一弥はその様子に、なぜか微笑んだ。



「んじゃ、行ってくるわ」


「あ、僕も行く!」



一弥が出ようとするのに、滋は慌てて追った。



「二人とも、頼んだぞ」

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