探偵喫茶へようこそ


海は逃げるように視線を逸らす。



「あー……てことはなんだ。三崎夢里に脅迫状を出したのは三崎洋一ではないってことか?」


「そういうことになる」



視線を戻すと、知由はパソコンを操作していた。



「でも洋一って書いてあったんだろ?」



そして、この中で唯一脅迫状を実際に見た、雪兎に質問を投げた。



「あ、はい。確かに書いてありました」



海はだよな、と言うように頷いた。



「それは恐らく、『よういち』ではなく、『ひろかず』と読む」



それに水を差すように、知由が冷たく言う。



「……それで?」



知由の言い方に腹を立てつつも、知由に考えを話すよう促す。



「三崎夢里……いや、夢郷未咲の過激ファンだと思ってな。ファンクラブ会員を調べてみた」



さっきからパソコンを操作していたのは、そのことを調べていたのか。


まあ、もともと調べていて、今は違うことをしているのかもしれないが。



「いたのか? ひろかずって奴」


「ああ、いたよ。ファンの中でもそれなりに有名な男らしい」

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