探偵喫茶へようこそ
夢里の耳に届いていた。
「聞こえてたんすね」
一弥は苦笑し、仕事に戻った。
「今日は洋一さんは?」
雪兎はコーヒーを淹れながら尋ねた。
「まだ仕事中です。私は早めに終わったので、先に」
「最近言われているからな。夢郷未咲はミスをしないって」
コップを持って戻ってきた海が、呆れたように言う。
「……まさか」
雪兎は夢里の顔を見る。
すると、夢里は照れ笑いを見せる。
「知由に早く会いたくて、毎日頑張ってます」
「そうでしたか」
雪兎はそれ以上言わず、ただ微笑むだけだった。
「さ、どうぞ」
そして、淹れたてのコーヒーを夢里に出す。
夢里は嬉しそうに一口喉に通す。
「んー! 知由に会うのも楽しみだけど、雪兎さんのコーヒーも楽しみなんですよねー。すごく美味しい!」