夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
(5)
「ーーこれで、よし!
あとで、さっきの写真と……。あ!黒猫ちゃんの写真も、撮って送りますね!」
「はい、ありがとうございます」
ポケ電の番号交換が出来た私は、胸がいっぱいだった。
まるで、付き合いたての恋人のような今に心が弾んで、緩む表情を抑えきれない。
いくら記憶を失くしている彼が相手でも、ずっとこんな表情で見ていたら自分の気持ちがすぐにバレてしまうのではないか?と思う程に……。
ーーでも、やっぱり見ていたい。
そんな気持ちでチラッと隣を見たら、広場の中央にある噴水を見つめているマオさんが口を開いた。
「一つ、聞いてもいいですか?」
「えっ?は、はい」
「あの時……。初めてここで会った時。
アカリさんはあの噴水に、何をお願いしてたんですか?」
思い掛けない質問に、ドキッとした。
あの時のお願い。
それは”ヴァロンともう一度会いたい”と、いう事だった。